2016年7月26日火曜日

脊髄損傷について 

こんにちは。お久しぶりですTORIALです。
しばらくブログを放置しててすみません。本当ならそれも色々書く所ですが今回は省略させていただきます。

今回はタイトルにもあるように、脊髄損傷について少し書かせてもらいます。
ニュースにもなってるのでご存知かと思いますが、自民党の谷垣禎一幹事長が先日サイクリング中に転んでしまい頸髄を損傷してしまったようです。
私も場所が違いますが胸椎を骨折した過去があるのでとても心配です。
まだ情報が少ないので谷垣さんが実際どうなのかは置いておきます。
今回は脊髄損傷ってどんな怪我?どんな問題がおきるの?ということについて書いていこうかと思います。

※お断り 私は医学の専門家でもなんでもないので正確な情報は保証できません。あくまで私が知りうること、見てきたことです。もし本当に正確な情報が必要な場合は各医療機関で聞いてください。このブログでの情報の精度は保証はいたしません。また責任も負いません。

・脊髄損傷とは
まず脊髄損傷とは脊椎の骨折などにより、その中にある脊髄を損傷することです。
簡単に言うと脊椎=背骨(首の骨も含む)、脊髄=背骨の中を通ってる神経です。
脊椎は大きく分けると3種類に分かれてます。

図はウィキペディアよりhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%8A%E6%A4%8E
首の部分が頚椎(図の赤の部分)、胸のあたりが胸椎(図の青の部分)、そこから下の腰の部分が腰椎(図の黄色の部分)です。
で、どこの脊髄(神経)を損傷するかで呼び方が変わります。
首のあたりなら頸髄損傷、胸の所なら胸髄損傷、腰なら腰髄損傷。脊髄の損傷ではなく単にそこの骨の骨折なら頚椎骨折、胸椎骨折、腰椎骨折と呼ばれます。よく自動車の自己などでなるムチウチとは頚椎捻挫です。骨折の手前です。
脊椎(背骨)の中に脊髄(神経)が通ってるのでもしその中の脊髄が損傷してしまうとそこから下の神経伝達に多大な影響を及ぼしてしまうので非常に危険な怪我です。

・脊髄損傷するとどうなる?
問題は非常に多く発生しますが、今回は主に身体的な部分を書こうと思います。

・運動障害、麻痺
まず起きて分かりやすい障害が運動障害、運動神経等の麻痺です。
基本的に脊髄を損傷してしまうと、損傷したところから下の部分全てに影響が出てしまいます。頸髄損傷の場合は首から下全てに影響が出てしまいます。
もちろん損傷が軽微な場合はリハビリで回復する場合もあります。しかし現代医学では脊髄が損傷してしまった場合は修復は不可能です。

脊椎の下の方から説明していきます(腰椎→胸椎→頚椎の順です)
一番下の腰髄だったとしても損傷が大きければ下半身が麻痺して歩行することができなくなり車椅子での生活になります。

胸椎は広いので影響の幅も大きいのですが場合によっては下半身だけではなく、胴体も麻痺します。

頸髄損傷は最も深刻です。損傷が激しい場合、首から下がすべて動かすことができなくなります。
動かすことができなくなるだけならマシな方で最悪の場合は呼吸する筋肉も自力で動かせなくなり死亡する危険もあります。
そして脚、胴体はおろか手も満足に動かせなくなる可能性があり普通の車椅子ではなく、電動車椅子での生活になるかもしれません。もし手も動かせないとなると例えば顎や舌を使って操作するものになります。

そしてここまで運動神経の麻痺と書きましたが、実際には運動神経だけでなく感覚神経にも影響があることが多く、触覚や痛覚、温度感覚も失う可能性があります。
温度感覚を失うと熱湯やストーブなどの熱源を気が付かず触って大やけどになったり、体温調整が上手く出来ずに熱中症、低体温症などになったりする危険が増えます。

・排泄障害
上の部分はなんとなく分かる方も多いかと思いますが、ここからは実際に怪我した人やその家族ではないとわからないかもしれませんね。
上で運動障害が起きると述べましたが、それはつまり筋肉をうまく動かせなくなることです。それはつまり排泄行為(小便や大便)も自力で行うことが困難になる場合があります。
小便に関しては自力でできない場合は尿道カテーテルを使っての排泄になります。私も入院中はそうでした。ずっとカテーテルを入れてるなら、これをつけてる間は移動する場合、ずっと尿が入った袋を車椅子などと一緒に持って歩く必要性が出てきます。そうでない場合は自己導尿といって自分でカテーテルを使って排尿する必要があります。でもこれはマシな方です。

問題は大便です。大便が自力で行えない場合は摘便という医療行為が必要になります。
どんなことをするかというと、他人に肛門に指を突っ込んでもらって便を掻き出してもらう行為です。もちろんこれだけでは全部出すのは無理なので薬などを使って強制的に腸や便を動かしたりして補助する場合もあります。(もし運動神経に障害が出てても痛覚が残っていた場合はかなりの苦痛です)
他人にやってもらわない場合は摘便棒などの補助具を使って自分で道具を肛門に入れて掻き出す必要があります。
また感覚を失っていると尿意や便意もわからなくなってしまう可能性も高く、そうなると外出するときの大きな障害になってしまいます。

・性行為障害
察しの良い方なら排泄障害が起きてる時点でお気づきかと思いますが、下半身が麻痺するということは同時に性行為も困難になってきます。
運動麻痺があるから、だけじゃありません。感覚神経も失う(もしくは鈍くなってる)場合は男性なら射精障害になる可能性があります。女性の場合は妊娠そのものは可能なケースが少なくないようです。自然分娩もケースバイケースですが可能なようです(ただ帝王切開の方が多いようです)
ただし、性交そのものや射精が困難な場合は人工授精なども必要になります。
こちらも隠れがちな問題ですが脊損患者にとっては非常に重大な問題です。

・後書き
簡単に3つほど書かせていただきましたが如何だったでしょうか?
単に脚などが動かなくなって車椅子生活になるっていう認識の人が多いと思いますが、実際はもっともっと多くの問題があります。今回は身体的な問題を少しだけ書きましたがもちろんそれ以外も見ればリハビリや家庭、仕事などなど・・・とてもじゃないけど書ききれません。
また私は胸椎を4つほど圧迫骨折したのですが、手術をしてくれた先生曰く「奇跡」だそうです。今現在、歩行したり自転車に乗ったりほぼ問題なく生活出来てます(ただし感覚神経や温度感覚には今でも少し異常があります)
私は非常に稀なケースで、入院した病院では私のように回復できない人を非常に多く見ました。そしてその患者は私と同世代(当時23歳)からご老人まで非常に幅広く居ました。
特に若い人の場合は殆ど事故でそうなります。そして事故とは突然、そして平等に誰でも起きてしまう可能性があります。気を付けてもどうしようもなく巻き込まれることもあります。
こうならないように気を付けて・・・というのは簡単ですがすべて防ぐのは無理です。
しかし知らないより知っておいた方が良いでしょう。そしてそうならないように考える事は無駄ではないでしょう。
今回、怪我をされた谷垣さんですがつい先程ニュースでもやっていましたが回復の見込みは全く不透明だそうです。
私のように奇跡が起きてくれれば、戻ってきてくれるかもしれません。
谷垣さんは政界きっての自転車好きで、自転車乗りです。
ぜひともまた戻ってきて元気な姿を見せて欲しいです。
ご回復をお祈りしてます。

※繰り返しになりますが私は専門家ではありません。正しい医療知識は専門機関の専門の医者にお尋ねください。このブログでの情報の精度は保証はいたしません。また責任も負いません。

2013年7月15日月曜日

ツール・ド・フランス 2013 第14、15ステージまとめ

すみません。
11~13ステージあたりは用事や体調不良でレースが見れなかったりしてまとめができませんでした。
14ステージから再開です。

 は第14ステージで191kmのアップダウンの続く平坦ステージです。



レースは序盤からアタックがかかり、なんと18人もの大きな逃げ集団ができます。
最初はメイン集団でも追う動きがありましたが、逃げた人数が多く、なかなか上手く詰められなかったため容認という形になりました。
今日は逃げが決まるであろうと予測されていたステージで、スカイにとっては逃げ集団の中に脅威になるような選手も居なかったので容認された後は落ち着きます。
落ち着くといってもスカイは昨日の嫌な思いがあるので先頭でずっと集団をコントロールしていました。

逃げ集団は18人もの大所帯。
有名、有力どころで言うとフォイクトやミラー、ブルグハート、ヴァンガーデレン、タランスキーが居ます。
私の予想ではこのステージで新城選手が逃げてくれると思っていたのですが、先日の落車で手に深い傷を負ってしまったので今日は逃げに乗れなかったようです。
非常に残念です。
この先のステージはいよいよ後半戦の山岳に突入し、逃げ集団に乗って逃げ切って勝利が決まる可能性はかなり低いので今年も勝利はお預けかな・・・
でも、まだ何が起きるか分からないので楽しみにしておきましょう。

逃げ集団は大きく協調が崩れるようなことはなく、淡々と進んでいきます。
中間スプリントでもすこし前に出る選手が居たくらいでもめる様なことはありませんでした。
なお、今日の中間スプリントは逃げ集団が大人数だったため全てのポイントを奪ってしまい、メイン集団は中間スプリントでポイントを得ることはできませんでした。
なのに、それをわかっていなかったのか、メイン集団ではカヴェンディッシュが一人だけ集団から飛び出しました。
後を振り返って、サガンやグライペルが出てこないので頭に?マークが浮かんでるようでしたw
彼は、こうやってたまにポイントが得られないのに飛び出したり、周回レースで、周回を間違えてスプリントしたりと結構天然なところがあるそうです。
しかし、いきなり飛び出したわけじゃないんだから誰か教えてあげなよw
テレビには映ったからスポンサー的には良かったかもしれないけど。

そして中間スプリントを過ぎたあたりになるとメイン集団で少し動きがありました。
約3分半差を行く、逃げ集団に追いつこうとアタックをかけ飛び出していく選手がいました。
先ずはフーガーランドとクネゴが飛び出していきました。
少し遅れてオロスも飛び出していきます。
しかし、逃げ集団とのタイム差は中々縮まらず、この追走は失敗に終わりました。

残り42km地点での逃げ集団とメイン集団のタイム差は5分2秒となりました。
この後リヨンの市街地に入っていき道も狭くなることからメイン集団は差が詰めにくくなります。
それを考えると今日の逃げが決まったのはほぼ確実になりました。
だからこそ、新城が居て欲しかった・・・

残り24.8km地点。
この頃になるとそろそろ逃げ集団でもけん制が始まります。
タイム差は6分以上あるので、まずメイン集団には追いつかれないので非常に活発になります。
先ずはミラーが集団引いていき、チームメイトのタランスキーがアタックするなどの動きでアタック合戦がはじまりました。
この結果、ベテランのミラーやフォイクトは逃げ集団に居たチームメイトに役目を託して、自らはアシストに回ると千切れていきました・・・
個人的にはフォイクトは最後、アタックして、勝利はできなくても、敢闘賞に選ばれるようなことを期待していたのですが・・・
そこは自分ではなく、27歳のバークランツに託して行く当たり良いベテランだなぁと思いました。
ちなみにバークランツは今年、第2ステージで優勝し、暫定マイヨジョーヌになりましたが、その昔フォイクトも同じようにマイヨジョーヌを着たことがありました。
そのため、フォイクトはホテルで、バークランツが獲得してきたマイヨジョーヌを見て非常にしみじみしていたようです。ただ、バークランツはあまりにフォイ クトがマイヨジョ​ーヌを羨ましそうにしてるもんだから奪われるんじゃないかと心配したそうですw(ちなみに暫定といえど、一度獲得するとあのジャージは 貰えると聞いたことがあります。フォ​イクトの時は違ったんでしょうか?)

アタック合戦が続き、アタックしては吸収されを繰り返していましたが、うまくやったのはソジャサンのジュリアン・シモンでした。
15.2km地点で、その前にアタックしたヴァンガーデレンとゴチエが吸収されようとしたときカウンターアタック。
しかもそこは市街地の下りで視界も悪かったのでそれを逆手に取り上手く成功させました。
タイム差は15秒程度獲得すると単独ゴールを目指して踏んでいきます。
残り距離は短いので、後の逃げ集団もシモンを捕まえたいのですがここでも誰が引くのか、行くのかでけん制になって上手くまとまりません。
TJやカドリが飛び出して一時は迫りますが届かず、吸収。
アタックを繰り返した選手は徐々に千切れていきますが、逃げ集団は協調することはなくひたすらアタックを繰り返します。

そんなのだからタイム差は上手く縮まないかと思いきや、シモンも単独で行くには少し厳しかったようで徐々に詰められていきます。
本当に後一歩のところまで逃げます。
残り1.6kmになると後の集団からブルグハートとアルバジーニが飛び出し一気に詰めてきてついにはつかまってしまいました。
しかしシモンは、諦めずアルバジーニの後に付きます。
彼の脚質はスプリンター系なので、脚が無いはずですが、最後に上手く、まくれるかもしれない可能性を捨てなかったようです。
そして最後は後の集団も合流してしまい、逃げ集団でのスプリント勝負になりました。
上手く飛び出したのはアルバジーニで、その後でシモンももがきますがやはり脚が残ってなかったようで加速できません。
アルバジーにかと思ったその時、画面左側から青白のジャージが飛び出してきて、最後上手く刺して、最速でゴールラインを通過しました。
勝ったのはオメガファルマのトレンティでした。
彼はオメガのサードスプリンターだそうです。
最強のスプリンターであるカヴェンディッシュがいるオメガでのスプリンターとなると、サードでも他とはレベルが違うスプリント力でした。
アルバジーニのはるか後から仕掛けたのに伸びに伸びて、加速していき勝ちました。
いや凄い!
彼は普段はカヴの影に隠れてしまう存在ですが、今日は自ら走り、自らの力で大きな勝利を得ました。
まだ25歳なので、今後飛躍していくかもしれません。

最後まで頑張ったシモンですが、11位という結果になってしまいました。
しかし、その絶妙なタイミングでのアタックと、最後まで決して諦めなかった走りが評価されたようで敢闘賞獲得!
最後の死に物狂いで踏む姿を見ていて本気で応援していたので、せめてこうやって報われてくれて非常に嬉しいです。

メイン集団のほうは最後まで大きな動きもトラブルもなくゴールしました。
次はいよいよモンヴァントゥが待っています。
そこで何かが起きる前の静けさのような気がしました。
モンヴァントゥを最後上るだけでなく、242kmの最長ステージで、更にはフランスの革命記念日!
盛り上がりそうです。
特に、ここまで全く良い動きを見せていないヴォクレールが非常に気になります。
ローランが山岳賞狙いになってるので、チームとしてどうするか悩みどころですが、フランス人は黙ってるわけにいかないでしょう。

そして今日は第15ステージ、242.5kmの山岳ステージです。



山岳ステージとは言うものの、殆どが平坦で最後に死の山モンヴァントゥーがあるだけです。
まぁその”だけ”がとてつもなくハードなのですが・・・
最後が、最後だけに総合での動きがあると思われるステージです。

レースは序盤に逃げが決まり10人ほどの選手が逃げました。
その中にはサガンやシャヴァネルの姿もありました。
シャヴァネルは逃げ切りが目的ですがサガンは、モンヴァントゥー前の中間スプリントねらいです。
残り78km地点でタイム差は3分39秒。
メイン集団は最後に備えて、逃げを泳がせます。
モビスターがこの頃は積極的に集団を引いていました。
バルベルデは先日、トラブルにより総合争いから脱落してしまいましたが、クインターナがまだ総合で残ってる上に、新人賞もあるのでそのための動きです。

残り33km地点の中間スプリントでは逃げ集団で多少争いがあるかと思いきや、サガンがあっさりと1位通過しました。
サガンはシャヴァネルなどを警戒していたのですが、全く動きませんでした。
今日は完璧に逃げしか興味がなかったようです。
後のメイン集団ではグライペルとカヴが集団前方に出てきて、特に争うわけもなく通過していきました。
まぁサガンとの差を考えると、逆転は難しいですし、この後の上りのために脚を使いたくないんでしょう。

残り28km地点ではタイム差は2分36秒と少し縮んできました。
この頃からメイン集団はスカイが引き始め、ペースを上げていきます。
逃げ集団では、スカイが追ってきてタイム差が縮んできたことを受けてアタックが発生。
シャヴァネルが一人飛び出します。
追ったのはロア、リブロン、イリサールの3人です。

19km地点ではスカイの強力な引きにタイム差が1分42秒まで縮みました。
そしてこの頃から、有力選手たちも付いていけなくなり、集団から千切れていきます。
良くなかったのは山岳賞ジャージを着ているローランが遅れていったことでした。
今日はかなり暑かったようで、暑さに負けてしまったのでしょうか?
今日は超級山岳の山頂ゴールで1位の選手は一気に50ptも山岳ポイントを獲得できます。このときのローランの保持ポイントは51ptなのでここで遅れると山岳賞は・・・​

そんなペースが上がる中、逃げ集団から諦めた選手がぼちぼち集団に吸収されていきます。
17.4km地点では、サガンが吸収されていきました。
しかし、ただで吸収されないのがサガン。
吸収される前には得意の片手手放しウィリーをキメて余裕の表情。
しっかりカメラに映り、アピールしながら吸収されていきました。お前実は本気出せばシャヴァネルについていけただろ・・・
ゴールでやるならまだしもまだ途中だからミスって落車なんかしたら大変だと思うのですが・・・
まぁこの男はヘント~ウェヴェルヘムで独走優勝したときも、かなり疲れがあるはずなのにウィリーしてたくらいなので大丈夫なんでしょう。
そんなサガンは吸収された後は、無理に頑張ることはなくそのまま下がっていきグルペットに

シャヴァネルの逃げは、強力でタイムが縮む速度が上がりません。
14.3km地点ではメイン集団から下がってきたイリサールのアシストを受けてバークランツが飛び出していきます。
なお、本来ならレディオシャックのエースのアンディはここで遅れていきます。
また、今日は活躍したい(フランスの革命記念日なので)ヴォクレールも遅れていきます。

13.6km地点では続いて、ニエベがアタック。
13km地点でバークランツと合流すると26秒先のシャヴァネルを追います。
また、12.7km地点ではついにクインターナがアタック。
かなり軽快に飛び出していきました。

12.6km地点ではシャヴァネルにニエベが追いつきパスしていきます。
シャヴァネルはそこで力尽きてしまい12km地点で吸収されてしまいました。
シャヴァネルもフランス人なので今日は何とか逃げて勝ちたかったのですが・・・

相変わらず、スカイが集団を引き続ける中、11km地点で今度はエヴァンスが遅れていってしまいます。何とかアシストを使って追いますが、差は縮まらずズルズルと下がって​いってしまいました。
先頭ではクインターナがニエベと合流すると2人で上っていきます。
集団はペースを緩めることなく進み48秒まで差を縮めました。
バークランツも結局9.6km地点で吸収されてしまいました。
どんどん人数が減っていき、集団を引くのもスカイ最強のアシストのリッチー・ポートになった事で更にペースが上がりタランスキー、クヴィアトコフスキー、バルベルデが遅れ​ていきます。

そのままポートが引き続けるとメイン集団はいつの間にか、ポート、フルーム、コンタドール、クロイツゲルの4人になってしまいました。
クロイツゲルはコンタドールをアシストしようと粘りますが、ポートのスピードについていけず3人になってしまいました。
そうなるとタイム差は一気に縮んでいき7.5km地点では15秒差となってしまいました。
先頭ではニエベが遅れ始めてしまい、クインターナが単独でゴールを目指していきます。

そして7.2km地点。
まだ、ゴールは遠いのですがフルームがアタックを仕掛けました。
コンタドールは反応はしたはずなのですが、あっという間に引き離してしまいました。

6.7km地点でクインターナに追いつきます。
コンタドールは後14秒程度のところに居て、クインターナは好調なのでここは2人で協力していくのかと思いました。
「今日のステージ優勝はあげるから、ここからちょっとアシストしてくれないか?」
なんて言葉をかける手もあったはずです。先日タイムを失ったとはいえ、まだアドバンテージがあり、下手を打って力尽きてしまうより、そっちの方がリスクは少ないはずです。​
しかし、フルームは違いました。
合流したと思ったら、そのままアタックしていきます。

クインターナも、ステージ優勝の可能性があるのでここはしっかりチェック。
結局5.8km地点で合流して2人で行きます。
2人は表面上は先頭を交代しながら行きますが、協力する気は無さそうです。

残り3.7km地点。コンタドールたちとの差は30秒程度でした。
ここでフルームは再びアタック、当然クインターナはチェックに入り、まだ食い下がります。
クインターナはコロンビア出身で、ツールの前には2ヶ月地元の標高2600mのところでトレーニングを重ねたそうです。
新人の彼が、ここまでフルームについていけるとは将来が期待できますね。

2人は結局未だ離れることなく、ゴールを目指します。
今日は観客の数が非常に多く、1.5km地点には悪魔おじさんを確認いたしました。
今日はスペシャ衣装で、いつもの赤い服ではなく、黄色のマイヨ・ジョーヌ仕様でした。

残り1.3km。
ここでフルームがなんと4度目のアタック!
彼は安全策やリスクの事を考えないのでしょうか?物凄い闘争心です。
このアタックについにクインターナもついていけませんでした。
こうなるともうフルームを止めれるものは誰もいません。

最後の最後まできっちり踏み、回し、ゴールラインを通過すると右手を高々と挙げてウィニングポーズ!
非常に好調だったクインターナですら、30秒も引き離す大勝利でした。
コンタドールに対しても結局は1分40秒の大差をつけて勝ちました。
コンタドールはせっかく先日、1分9秒のタイムを奪うことに成功したのに今日はそれ以上に失ってしまいました。
まだ今日は最終週前の山岳なのに2位のモレマですら4分14秒、3位のコンタドールは4分25秒も離されてしまいました。

そして、今日ステージ優勝したフルームは、山岳ポイントを50pt獲得して、持ち点が既に33ptあったので合計で83ptで山岳賞もトップに。
それまでトップだったローランは遅れてしまい51ptのまま。
逆にクインターナは2位とニエベが3位となりポイントを稼いでしまったため4位まで交代しました。
山岳賞の順位は
1位 フルーム 83pt
2位 クインターナ 66pt
3位 ニエベ 53pt
4位 ローラン 51pt

今年の山岳賞はマイヨ・ジョーヌ&マイヨ・ア・ポアか、マイヨ・ブラン&マイヨ・ア・ポアになるかも知れません。
山岳だけを狙って山岳賞を取るのではなく、他を狙って走り、純粋に強いので山岳賞を取るなんて・・・フルームとクインターナの走りは恐ろしい限りです。

明日は休息日。
ここまで絶好調なフルームですが、最終週で疲れから体調を崩して失速なんて事にならなければ良いですが・・・
それは他にも言えることですね。
まだ分かりません。
では、今日はここまで。

2013年7月10日水曜日

ツール・ド・フランス 2013 第9、10ステージまとめ

更新を忘れてました。ごめんなさい。
まとめて上げます。


第9ステージ、168.5kmの多数の山岳が設定されている山岳ステージです。


昨日はフルームの圧勝でした。
しかし、明日は休息日となるので他のチームの選手たちも何らかの動きを打ってくるはずです。

先に謝っておきます…
今日のまとめは上手くできてる気がしません。
というのも、今日は朝からレースの応援に行き、午後はBOMAの試乗会で色々なフレームやホイールを乗って疲れていたのか、途中で寝落ちしてましたorz
なので途中の140km~100kmくらいまで展開が飛んでしまいます。
ごめんなさい・・・
そこの部分は、明日以降にシクロワイアードやJspoが動画を上げてくれるはずなのでそちらで確認してください。
更には展開が複雑かつ高速で目まぐるしく変わり、とてもじゃないですけど全てを追えませんでした。
それくらい混迷を極めたレースでした。

レースは序盤からアタックが多発。
明日が休息日という事で賭けに出る選手も多かったようです。
そのため、アタックをするたびにかなりの人数が飛び出してしまい、なかなか容認してもらえません。
そのたびにスカイが集団先頭を引いて潰していきます。
ようやく逃げらしく決まったのは残り156km地点でした。
珍しく、同チームの2名、ガーミンのデイヴィット・ミラーとジャック・バウアーが逃げます。
一時30秒差まで広げますが、それ以上は伸びず徐々にタイム差を縮められていきます。

そして2名が吸収されると再びアタックが発生。
今度は山岳賞を狙うローランや、総合狙いのヘシェダル、新人賞狙いのヴァンガーデレンなどの選手が飛び出します。
ローランが山頂を狙って走りますが、及ばず吸収されます。
結局山頂は手前で飛び出したジャネソンが1位通過、次いでマーティン、ダニエルソンが続きます。
しかし残り140km地点で再び吸収されます。
なお、今日はアタックが多発し、ペースが上がるため、この頃から既にスプリンターたちが遅れてグルペットを形成し始めます。
こんなに速いタイミングでのグルペット形成はタイムアウトが心配されましたが、勝負には関係ないので先に報告しておくと、何とか大丈夫だったようです。

そして、ガーミンを中心に多発するアタックをスカイが何回も追い、更にはケノーが落車するなどの影響でこの頃にはアシストがポートしか残らないというまさかのスカイ崩壊が​始まりました。

ここからちょっと展開が跳びます。
残り104kmではローランらが逃げ、
その後にポートもついには遅れてしまい全てのアシストを失ったフルームが居ました。
そしてその後にコンタドールなどの集団があります。
結局残り96km地点でコンタドールはフルームらと合流します。
ここで先頭との差は56秒でした。

残り84.4km地点では先頭にバークランツも合流。タイム差は50秒。
ローラン、バークランツ、デヘント、ヘシェダル、デクレルク、バルデの6人になります。
そのころポートは既に2分近く遅れてしまい。
総合を落とすだけでなく、復帰してフルームのアシストをするのも難しくなってきました。

残り80km地点ではタイム差が32秒まで縮みます。
ここでデヘントがキツそうにしますが、何とか喰らいつきます。
そして3つ目の山岳では1位通過しようとして飛び出し、油断していたローランを抜き去り1位通過していきます。ローランは遅れて2位。

山岳を下り終えた頃、また集団からアタックが発生。
今度はサイモンCが飛び出して生きます・
そして残り64km地点ではまた少し、面白い展開がありました。
完全に遅れたかと思ったポートが息を吹き返し、単独でどんどん追い上げてきます。
その結果、メイン集団では総合を狙うバルベルデを擁するモビスターが先頭に出て集団を引き始めます。
ここで、モビスターが先頭で引くことでフルームは5番手くらいに付き、一定ペースで引くモビスターのアシストを受けるような形になります。
モビスターとしてはポートに合流されたくない&そうすることでポートはタイムを失いバルベルデの順位上昇という意図があったのですが、その結果がフルームのアシストになっ​てしまいました。
ポートがここで踏むのをやめると、この体制は崩壊するのですが、ポートは止めず追います。
ポートは間接的なアシスト、自分が追う事でモビスターにプレッシャーをかけて一定ペースでペースを上げさせフルームのアシストをさせるというとても複雑な展開になります。​
多分、狙ってやったわけじゃないですけど、中々見れない展開です。

先頭ではサイモンCが追いつき、ヘシェダル、デヘントは遅れて吸収されていきます。
結果、先頭サイモンCで、それを追う集団がローラン、バルデ、デクレルクの3人、バークランツは少し遅れていき、その後ろにフルームやバルベルデらのメイン集団、そして後​からポートが追うという形になります。
4つ目の山岳では、そのままサイモンCが一位通過し、ローランが継ぎます。
下りに入り、残り51.5km地点でサイモンCとローランらが合流して再び4人で逃げていきます。この時点でタイム差は56秒
しかし40km地点ではいよいよ12秒まで縮むと、バルデが最後の足掻きに飛び出します。
ローランらはそのまま吸収されていきます。
バルデも粘りますが、37.8km地点で吸収されていきます。
そしていよいよ最後の山岳へ。
ここは1級で、9.9km平均7.5%の登坂です。
ここでアシストを失い、丸裸になったフルームを落とすことができなければ、今後かなり苦しくなります。

最後の山岳、やはり動くのはモビスターでした。
残り35kmで好調なクインターナがアタックを仕掛けます、フルームはすかさず反応して、睨みを効かせます。
そして、その隙を突いて総合的には関係のない逃がしてもらえるような選手が飛び出します。
ダニエル、フグルサング、ニエベが飛び出しますが成功したのはダニエルとフグルサングのみでした。
このダニエルとフグルサングのアタックは非常に良いタイミングでしっかり決まります。
すぐにタイム差が30秒程度稼ぎました。

そして後の集団では再びクインターナがアタックをしかけ、フルームやコンタドールもすぐさまチェックに入ります。
フルームは下を向いたままで、ワットメータを見てるのか調子が悪いのか今一分かりません。
アタックをしてもすぐさま反応をするので、ライバルたちは徐々に動きが鈍り、更には少しフルームは前に出ると思いっきり眼を飛ばします。
結局その睨みの前にクインターナ以外の選手でアタックを仕掛ける者は出ず、更には何故かクロイツゲルが前に出て手段を引き始めます。
コンタドールのために集団を落ち着かせるのが目的だったのだと思いますが、その動きはフルームをアシストする形になります。
更にはクインターナの攻撃が失敗に終わったことで新人賞の期待もかかるのに体力を消耗させてしまいました。
モビスターはうまくやったようで、全く上手くできませんでした。
結局そのまま山頂を越えます。

その後も小さなアタックは発生しますが、先頭に追いつくことはなく失敗に終わります。
また集団も思いっきり先頭で引くようなチームが出ないので逃げとのタイム差も縮んでいきません。
残り12.9kmで31秒。
普通ならここから一気に詰まっていくはずです。
実際メンバーもそこそこ残り力のあるバルベルデが居るならモビスターは狙っても良いところですが、先の上りで消耗してしまったのか引きません。
その結果ついには2km切ってもタイム差は32秒。

勝負はダニエル、フグルサングの一騎打ちとなりました。
フグルサングは積極的に走りますが、ダニエルの方がとにかく上手く立ち回り、終始フグルサングに引かせていきます。
最後のスプリントでも、トラックレースのようにお互いを睨みあってのスプリントでしたが、ここはフグルサングに引かせて脚を温存したダニエルの方が明らかに力がありました​。
ガーミンは序盤から全員が積極的に動き、スカイを崩壊させ、更にはステージ優勝も取るという素晴らしい日でした。
チームとしてもこの日はとにかく積極的に動くことに決めていたようです。

結局、今日はフルームがアシストを全て失い危機的な状況になるものの、他のチームが上手く立ち回れずモビスターとサクソはお互いを攻撃しあって潰しあったりしたためタイム​を失うことはありませんでした。
しかしやり方次第ではスカイを崩壊させることもできるということがこれでわかったので、今後のステージで何か動きがあるかもしれません。
それでも、TTでフルームはライバルに更にタイム差を奪っていくはずなので、それだけで倒せるのか?

今日は第10ステージで、197kmの平坦ステージです。



昨日は休息日だったので、選手たちはフレッシュな状態ですが数少ない平坦ステージなのでスプリンター系チームが後半から追い上げて逃がしてはくれません。
また、総合系やTTを狙う選手の場合は明日に備え消耗はしたくありません。


レースは序盤から逃げが決まります。
スプリンター系チームは逃げが決まることは問題ありません。
問題なのは逃げ切られることですから。
今日はその心配が少なく、逃げが決まってくれた方が集団は落ち着いてくれるのでスプリンター系チームも総合系チームもあっさり容認。
シモン、ウェストラ、マテマルドネス、オロス、クザンの5人が逃げます。
残り141km地点ではタイム差が4分32秒まで広がりました。

しかし今日は風が強く、下手な動きをして集団が加速してしまえば明日のTTもあるのにかなり消耗してしまうし、お互いに深刻な遅れをとってしまう可能性もあるので、このタ​イム差をキープしながら集団は逃げを泳がせます。

そんな落ち着いたレースが進むため、集団はかなりリラックスした状態で走ります。
残り73km地点ではマイヨ・ア・ポアを着ているヨーロッパカーのエース、ピエール・ロランがチームカーまで下がり、ボトル運びをしているシーンがありました。
集団のペースが遅く、チームカーも近かったようで後に下がってもすぐに戻ってこれるの状況でした。
そんな状況なので普段は自分をアシストしてくれているチームメイトに恩返しをして、ちょっとでも楽をしてもらうためでしょうか?
ぼこぼこに膨らんだ山岳賞ジャージは見たことがなかったのでちょっと驚きました。
そして、新城選手と、ロランが並ぶと日本のナショナルチャンピオンジャージとマイヨ・ア・ポアがなんだかペアルックというかお揃いという感じでちょっと面白かったですw

今日は70km地点に中間ポイントが設定されていました。
1~5位は逃げが消化しますが、それ以下にもポイントが付くのでメイン集団では動きが活発になります。
キャノンデールが良く動いていましたが制したのはグライペルでした。
順位はグライペル、サガン、カヴという順でした。
サガンは相変わらず、ポイントを取りこぼさず、なかなかポイント差を大きく詰めさせてくれません。

残り62.5km地点では中間スプリントを目指して集団が加速したためタイム差が2分15秒まで縮みました。
このままでは逃げを早期に捕まえてしまい、新たなアタックも発生してしまう恐れもあるためロットが先頭に出てきては集団にペースを抑えて行こうと合図をします。
ロードレースの面白いところはこういった必ず怠けるところが出てくることですよね。
これも戦略の一つなのですが
みんなでサボれば怖くない!
なんて、他のプロスポーツではあまり考えられないようなことが普通に行われるあたり凄く人間臭くて大好きです。
そして、そうやって気を抜くところはしっかり休んで、やる時はしっかりやるというメリハリをつけた方がいい結果が出せるという点は、日本人的にはいろいろ学ばなければいけ​ませんね。
ついついいつも頑張ろうとしてしまいますから。

残り55.5km地点では今日唯一の4級山岳がありますが、山頂手前でウェストラが飛び出してポイントを取ります。
たった1ポイントで、山岳賞に影響は殆どありませんが、逃げ集団としては下手に争ったりせずに協調して進んでいきたいのでこのようにウェストラが空気を読まずにアタックす​るのはあまり歓迎されたことではありません。
52km地点で再び合流しますが、他の選手からすこし文句を言われてたようです。

残り38km地点。タイム差は2分2秒。
ここら辺から色々なチームが前に出てきて集団のペースを上げて、逃げ集団とのタイム差を詰めていきます。
29.6km地点ではタイム差が1分7秒まで縮みまります。
かなり向かい風が強く、逃げ集団にはかなりキツイ展開になります。
しかし、どうもゴール前では進行方向が変わるので追い風になる可能性があります。
そうなると、逃げ集団のほうに若干有利に働くので、多少早めに捕まえておきたいところです。

そうなってくると、逃げ集団がつかまるのも秒読みです。
27.9kmで54秒差、ここでオロスが先頭からアタックしていきます。
しかし、向かい風が強く、他が動かなかったため成功せず再び吸収されます。

残り23km地点で45秒差。
ここらあたりになると位置取りが激しくなってきます。
オメガやサクソが積極的に、上がってきます。
20km地点ではベルキンなども上がってきます。
18.8kmで先頭を逃げていたウェストラが力尽き、下がっていって吸収されます。
逃げ集団は残り4人でタイム差は32秒さらに厳しくなります。

15km地点になるとアルゴスも前に上がってきます。更にペースが上がりタイム差は18秒になりました。

8km地点になるとほとんどタイム差がなくなります。
しかし、逃げは諦めず、シモンが最後の足掻きを見せます。
ここから、集団は先頭が見えるのですがなかなか詰まりません。
5.8km地点ではマテマルドネスも飛び出し、5.2km地点では再びシモンが飛び出して粘りまる。
しかし、そこまででついに集団に吸収されて今居ます。
そして、いよいよ集団スプリントに向け、スプリンター系チームがどんどん出てきます。
ここでオリカも上がってきました。
4km地点ではアルゴスとオメガが良いトレインを組みます。
キャノンデールはいつもはトレインを上手く組んでくるのですが、今回は上手く動けません。
3.2km地点ではロットも出てきます。
今日はゴール近くにのぼりもなかったので全てのスプリンターが残っています。
集団はかなりの速度で進みます。
この頃の巡航速度は何と65km/h!
そんな速度で、ひじが触れ合うような距離で走るなんて…

残り1.7km各チームのトレインがひしめく中、キャノンデールは全くチームとして動けませんでしたが、サガンは上手く、先頭に残りオメガファルマのトレインを上手く利用​してカヴの後に張り付きます。

残り1.3km、ここで上手く出てきたのはアルゴスでした。
エースのキッテルを連れて発射準備完了です。
ここで後には新城の姿もありました。
厳しい位置だったので、勝利の期待は薄でしたが、そもそもそこに残れてることが私が自転車に乗り始めた頃や別府選手が今中選手に次いでようやくツールに出た頃から考えると​まるで想像できなかったので無茶苦茶凄いことなんですよね…

最後、先に仕掛けたのは好調なグライペルでした。
少し手前からロングスパートを仕掛けますが、その後からアルゴストレインがキッテルを発射。
更に後からはカヴが追撃します。
しかし、ここでトラブルが起きます。
キッテルを発射した、アルゴスのアシストの選手が下がってきたのですが、その選手にカヴがひじ?肩?を引っ掛けて接触してしまい相手が落車してしまうという事件がありまし​た。
幸い、相手は上手く転んだため骨を折ったり大怪我というわけではなかったようです(それでも65km/hでの落車ですが)
もしかしたらポイント剥奪などの処分があるかもしれません。
カヴもわざとやったわけでは無いようで、引っ掛けた後は後を振り向いてスプリントをやめてましたし、その後に謝罪もしたようです。(言い訳も結構してたみたいですが)

そしてそんな事が後方で起きてる中でグライペルがゴールへ向かって突き進みますが、少しかけるのは速すぎた上に、しっかり発射されたキッテルの勢いはそれを上回っていまし​た。
最後、しっかり加速しきったキッテルがグライペルをまくり上げ、ゴール。
アルゴスは不運なことがありましたが、これで何とか報われたかな?
グライペルは他のスプリンターに比べ1歩前へ、2勝目をあげました。
土井選手がツイッターで今日の状況はキッテル向きで、今日はアルゴスの日になると予想してましたが的中でした。
元チームメイトなので我々より遥かによく分かってるのでしょう。
ちなみに、今日の私の優勝予想はグライペルでした・・・グライペルも惜しかった!

明日はモンサンミッシェルでの個人TTですが、その後も少し平坦ステージが続きます。
明日はフルームが他を圧倒してしまうのか?
優勝筆頭候補のマルティンはどこまで回復してるのか?
エヴァンス、コンタドールはどうなるのか?
バルベルデは大丈夫?
案外ポートが大活躍?

大好きなカンチェラーラが居ないTTは退屈かと思っていましたが予想以上に面白いことになりそうです。
では、今日はここまで。

P.S
今日、仕事から帰ってきて時間がなかったのでクーラーのない部屋の中で扇風機に当たりながらローラーを回してましたが少し熱中症になりました。
扇風機に当たっていればかいた汗で冷却されるので大丈夫かと油断していましたが、流石にこの季節はダメですね。
皆さんもお気をつけください。

2013年7月7日日曜日

ツール・ド・フランス 2013 第8ステージまとめ

Bon soir! TORIALです。

今日は第8ステージ。195kmの山岳ステージで、いよいよピレネー突入です。



今日は超級山岳を超えたら1級山岳があり、山頂ゴールになってます。
そのため、総合だけでなく山岳賞狙いの選手の動きも気になります。

いつもの様に序盤から逃げが決まりました。
フーガランド、モラード、リブロン、マリノの4人が逃げます。
タイム差は残り85km地点で6分以上まで広がりますが、今日はご覧の様に超級、1級と山岳があるので登りに入って、総合勢などが動き出すとすぐにタイム差は消されてしま​います。

中間まではとりあえず逃げつづけ、フーガランド、モラード、マリノ、リブロンの順で通過。
メイン集団では、またキャノンデールがトレインを組み積極的に引きます。
上手く運んでサガンを発射かと思いきや、サガンの後ろについていたグライペルが先に仕掛けて、上手くやり5位で通過。
しかしサガンもグライペルの後ろに付き6位通過、ついでカウ゛でした。
グライペルは僅かにサガンとのポイントを詰めましたが、まだpt差あります。
サガンは無理に1位を取らなくても、2~3位で手堅くポイントを取りこぼさなければジャージを失う危険性は少ないので今後はどうするんでしょう?
他のチームは何とかサガンに攻撃したいはずですが、下手をすれば昨日のようなキャノンデールの攻撃を再びされてしまうので難しいところです。

残り57km地点から、スカイ、サクソ、ベルキン、モビスターがトレインを組みペースを上げ始めます。
そうなるとどんどんタイム差は縮まり、残り48km地点で2分差まで縮みます。
そのため、逃げ集団でもフーガランドがアタックしますが決まりません。
フーガランドはダメでしたが、上り口の残り44km地点でリブロンが仕掛けて、一人飛び出していきました。
なお、メイン集団ではいつもの様にグライペルやカウ゛などのスプリンターが遅れていきグルペットを形成したようです。

飛び出したリブロンは粘りますがタイム差は約1分まで縮んできました。
そうなると、集団からは飛び出す選手が出て起案す。
40km地点では、ヘーシングが飛び出し、39km地点ではヴォクレールが飛び出しました。
38km地点でリブロンの集団との差は1分28秒、遅れること48秒でヘーシング、1分でヴォクレールとなります。
そして、去年は病に伏せてツールには出場?できなかった悪魔おじさんですが、今日は37km地点で確認しました。
元気になってよかった!!(また、どこだったか忘れましたが、子供の悪魔、小悪魔?子悪魔?も居ましたw)

また、この頃からスカイが集団をコントロールし、キリエンカが表情一つ変えず、一人で、ただひたすら淡々と、そして恐ろしい速度で引き続けます。
去年はモビスターに居た選手ですが、一人淡々と、一切ペースを崩さずに走り続け、一人チームスカイなどと言われてましたが、今年は本当にスカイに移籍しました。
チームの戦術と、選手の特徴が完璧にマッチしてるので恐ろしい活躍を見せてくれます。

その結果、ヘシェダルやタラマエなども遅れていきます。
しかし、そんなペースの中飛び出した選手がいました。
モビスターのクインターナです。
あっという間にヴォクレールに追いつくと抜き去り、更にはヘーシングもかわして行きます。
なお、このクインターナの走りを見たヴォクレール社長はやる気スイッチがOFFになってしまったようでどんどん下がり、ついには集団からすら千切れていきました…残念。

スカイのキリエンカの鬼引きで集団はどんどん小さくなります。
33.9km地点ではヘーシングが吸収されていきます。
また、先頭ではクインターナがリブロンに追いつきました。
リブロンは何とかクインターナについていこうとするものの結局、付いていけず下がっていきます。
この時点でのタイム差は43秒です。

そして、32.9km地点で今度はローランが飛び出していきます。少し遅れてアントンも飛び出していきました。
ローランはこの山岳でポイントを稼げば再び山岳賞ジャージの可能性もあるのでそのための動きでしょうが、総合はどうするんでしょう?
山岳狙いのヴォクレールがダメだから、ローランが山岳に変更?
ヴォクレールはステージ狙いにでもするのでしょうか?

31.8km地点でローランがリブロンを抜きました。
そして31km地点でクインターナ先頭、次いでローランが40秒遅れ、その後にアントンという形になります。
しかしアントンはこの後吸収されていってしまいました。
なおこの頃、キリエンカは仕事を終えて下がっていったのですが、新人賞に期待がかかるヴァンがーデレンが集団から遅れていきました。

結局、超級山岳はクインターナ、ローランの順で通過。
山頂手前で、エウスカルテルのニエベが飛び出し、何とか3位通過していきます。
エウスカルテルは山で活躍したいチームなので本当はアントンで1位通過したかったでしょうが、できなかったので何とか3位は守りたいという意思だったんだと思います。

ここからは約20kmの長いダウンヒルです。
ここで、相変わらずSKYが良いペースで下っていきます。
なおこの、下りで総合に期待がかかるティボ・ピノーが遅れていきます。
どうやらハンガーノックになってしまったのかまるでペースが上がりません。
しかもこの後、メカトラもあり大きくここで後退してしまいます。

残り8.8km地点でタイム差は22秒
ここでローランが、クインターナに追いつき合流します。
そして最後の1級の上りに入っていきます。
このまま2人で行くかと思いきや、ローランがついていけません。
それを確認するとクインターナはちょっとダンシングして加速したらシッティングでスイスイ。
あっさり置き去りにしていきました。

残り7.2kmで結局ローランは結局吸収されます。
この頃からスカイは最後の、そして最強のアシストのリッチー・ポートが引き始めます。
このペースもとてつもなく早く。
アンディやエヴァンスなどがまず遅れていきます。
6.3km地点ではアントンやルイコスタも遅れ、メイン集団だったものはフルームやコンタドール、バルベルデなどのほんの数人になってしまいました。
5.9km地点ではテンダムや激坂の名手ホアキンも遅れていってしまいます。

懸命に逃げたクインターナですが残り5kmでついにポートたちに吸収されていきます。
そしてこの頃から、コンタドールが遅れ始めました。
そして、それを見て動いたのは何とフルーム。
一気に飛び出していきます。このアタックにはだれも付いていけません。
そのままどんどん差を広げていきます。
そして、それまでアシストしていたポートも周りの動きが鈍いことを感じると、何と4.5km地点で自分もペースを上げていきます。
本来なら、これはあまり良くない(チーム無いの下克上の危険もある)
しかし、フルームのペースはポートより遥かに速いので、チーム的に他の選手を圧倒し、心を折るためにもその許可が出たのでしょうか?
こればっかりは推測なのですが、事実としてポートが他を置き去りにしてペースを上げていきました。

そのままフルームは完全に独走状態。
しかも、かなり追い込んだ走りを見せます。
頭から水をかけ、歯を食いしばり、ひたすら回していきます。
恐らく心拍強度は90%を超える無酸素領域に入っている強度だと思います。
ゴールを目指し、まるで獲物を追う狼のように獰猛に加速して行きます。

残り1km、フラムルージュを過ぎるこの時点でも十分なタイム差があるにも関わらず、フルームはダンシングして更に加速していきます。
あっという間に残り500mを過ぎると、最後まで決して踏むのをやめず、ガッツポーズをする素振りすら見せず走り続けます。
そのまま独走、完全勝利でゴール。
そしてゴールラインを超えてようやくガッツポーズを見せました。
1秒たりとも無駄にせず、徹底的に相手からリードを奪う超攻撃的な走りでした。
なお、フルームの最後の山岳での、この走りですが過去のデータと比較するとランスの時代より約2%速く、ここ4~5年では4.5%も速く上ったそうです。
何という身体能力、そして精神力と闘争心でしょう。

この圧倒的な走りの前に、結局2位になったポートですら51秒遅れ、ポートを必死に追ったバルベルデでも1分8秒遅れ、コンタドールは1分45秒、エヴァンスは4分36秒​も遅れてしまいました。
もう、ライバルは意気消沈ではないでしょうか。
ちょっと圧倒的過ぎました。

その結果、フルームは当然マイヨ・ジョーヌを獲得したのですが、最後の1級を1位で通過し、その前の超級を実は6位で通過していたので、持ち点1ptと合わせたポイントは​
1 + 10 + 20 = 31pt
となり、一方で超級を2位通過したローランは持ち点の11ptに加えて20pt獲得し
こちらも31ptとなりポイントが並びました。
規定により、ステージ優勝してるフルームの方に優先権があるため、何と山岳賞もフルームです。(ただしフルームはマイヨ・ジョーヌを着るので繰り下げで、明日はマイヨ・グ​ランペールはローランが着ます)

今日で、フルームの総合優勝がかなり濃くなってきたと思います。
本当に圧倒的な走りでした。
しかし、この走りを見て思ったのは、無理だとは思いますがフルームがマイヨ・ジョーヌのみならず、同時にマイヨ・グランペールも獲得してくれないかという風に思いました。​
私はクライマーなので山を征するものが全てを征すというのを、見てみたいんですよ。
もし、それが見れるならクライマーの一つの目標になると思いますから。

明日以降のステージも楽しみですが勢い止まらないと、何か明日も更にリードを広げてしまうような・・・

では、今日はここまで。
Bonne nuit!

P.S
ちなみに、今年もフルーム節は健在なようでゴール後のインタビューでライバルは誰かと聞かれたときに「リッチー・ポートだよ!」と答えたそうですw
いやー、ウィギンスとは違って(※批判してるわけじゃありません)TV的には非常に面白く、ネタになるキャラですねw

2013年7月6日土曜日

ツール・ド・フランス 2013 第7ステージまとめ

Bon soir! TORIALです。
練習した日は観戦も展開が少ないと眠いよー!
頑張って書きます。

今日は題7ステージで、205.5kmの中級山岳ステージです。



スプリンターにとっては辛いステージです。
3つ目の三級山岳を越えることができれば、最後はスプリントもできますが、それまでに遅れてしまうと勝負すらさせてもらえません。
パンチャー系の選手にはチャンスがあるステージです。

レースは序盤、2人の選手が逃げます。
AG2Rのカドリとレディオシャックのフォイクトが逃げます。
フォイクとは今年41歳の大ベテランで最年長プロ選手!
今なお現役どころか、逃げを打つほど元気と素晴らしい選手ですね。
ついでに非常に恐ろしい情報ですが、今日のフォイクとのギア選択はフロントが54-39Tでリアは21-11Tだそうです・・・
これで中級山岳上っちゃうんですね。
負荷を高めよう!って思って最近私はフロントを50-36Tのリア23-12Tにしたのですが、こんな負荷じゃダメなんです?
まぁ私らとは比べ物にならないほど強い選手なので比較することがあまり意味が無いかも知れませんが…ちょっと悔しい。

懸命に逃げて1つ目の山岳では4分さまで広げます。
2つの山岳もそのまま逃げて越えていきます。
順位はどちらもカドリ、フォイクトの順でした。
そしてこの結果、カドリは山岳ポイントを12ptまで伸ばして、11ptのローランを抜きました。
ローランは2つ目の山岳でポイントを取りに行きますが及ばず、今日でジャージを手放すことになります。

しかし、一つ目の山岳を越えてから後の集団で動きがありました。
キャノンデールがぐんぐん速度を上げていきます。
その結果、逃げの二人は吸収。
まだ残り100km以上残っているのですが、チーム総出で集団の前方に出てペースを上げて引いていくという大胆な攻勢に出ました。
これによりピュアスプリンターたちはどんどん遅れていきます。
最初に遅れたのはカヴ、次いでグライペルとキッテルも遅れていきました。
残り106km地点で集団からグライペルたちが1分14秒送れ、カヴェンディッシュは3分18秒も遅れてしまいます。
キャノンデールの作戦通りに他のスプリンターが遅れていきます。
こうなると中間スプリントを獲るだけでも、他のスプリンターはポイントが取れないのでサガンはライバルたちに大きなポイント差をつけることができます。
そのまま残り70km地点の中間スプリントまでやってくるとしっかりサガンを発射。
当然のように1位で通過してポイントを稼ぎます。

しかしライバルたちも黙っているわけにはいかないので、カヴはグライペルたちと残り88.1km地点で合流して、先頭集団を追います。
しかし中々差が縮まりません。

残り68km地点で少しペースが緩むと、第2のアタックが発生。
バークランツ、ゴチエ、 オロスが逃げ出します。
バークランツ先頭で、先ずは3つ目の山岳を通過。
その後50km地点ではタイム差が1分まで開きます。

しかし、その後再びキャノンデールが集団を引き始めるとまた、タイム差が縮んでいきます。
そして、その頃後の追走集団ではグライペル擁するロットが必死に追っていましたが再びキャノンデールが引き始めたのを聞いてか、このまま追っても消耗するばかりだと考えた​らしく追うのをやめてしまいます。
代わりに追走集団を引くチームも現れず、ここは追走ではなく完全にグルペットと化しました。
もう今日は勝負しないので、後はサイクリングを楽しみながら怪我をしないように、タイムアウトにならないようにゴールへ向かっていきます。

残り25km地点でメイン集団は逃げとのタイム差を4秒まで縮めます。
キャノンデールの攻撃で、ピュアスプリンターは遅れましたが、それ以外の選手デゲンコルブ、ボアッソンハーゲン、シャバネル、ジルベールなどは生き残りました。
いつもとは少し違う面子ですが、この中ならサガンのスプリントは一番の輝きを魅せます。

残り8.3km地点でタイム差は18秒。
逃げの吸収も時間の問題です。
しかし、この残り距離になっても集団を支配し、先頭で引き続けるのはキャノンデール!
ここまでですでに90km以上引き続けてますが、まだトレインを組んでペースを上げていきます。
残り2.9kmで吸収されるといよいよスプリントのための位置取りが激しくなります。
ここに来てキャノンデールのトレインも少し伸びがなくなってくると、すかさずアルゴスシマノが出てきました。
アルゴスは当然デゲンコルブでの勝負です。
伸び悩むキャノンデールトレインを抜き去ると先頭に出て、発射準備をします。
しかし、そこからもキャノンデールは諦めませんでした。
100kmも集団を頑張って引っ張って、攻撃も成功させて勝てなかったら悔しいなんて言葉では表現できないでしょう。
いよいよ残りアシストは一人になったとき、上手くアルゴストレインの後につきます。
左からはランプレが上がってきて、右からも他の選手が上がってきて進路を塞がれますが、最後まで慌てず、そして上手く強引に左に寄せながら集団前方までねじ込み上がると、​そこでサガンはデゲンコルブの後ろに

発射されたデゲンコルブにワンテンポ遅れる形でスプリント開始でしたが、
そこは怪童サガン。
他を圧倒する加速でデゲンコルブを抜き去ると、最速でゴールに飛び込みました。
勝てと言えば勝つエース。それがサガン。
そして、そんなエースだからこそ、アシストは信頼し、身を粉にしながらアシストして想いを託します。
今日はサガンというよりキャノンデールの大勝利でした。
勝てるかどうか分からないエースのために100kmも集団を引き続けるなんて事は体力だけでなく、普通は気持ちが持たないでしょう。
でも、サガンならやってくれる。そう信じたからこんな大胆な攻撃をして、成功させることができたような気がします。
ゴール後に抱き合うサガンとアシスト達を見て、このチームはエースとアシストの信頼関係が他より段違いで強いような気がしました。
こういうチームは見てて気持ちがいいですね。

その結果、サガンは今日大量のポイントを稼ぎ224ptになりました。
2位のグライペルから94ptもの差をつけることになり、なんだか序盤で既に今年のマイヨ・ヴェールが決まってしまったような雰囲気が漂い始めました。
まぁ去年みたいにライバルがポイント剥奪されて、ジャージ決まるよりマシですけど…

明日はいよいよピレネーに突入します。
そして、ゴールは1級山岳の山頂ゴール。
総合ももちろん気になりますが、個人的には山岳賞が気になります。
ヨーロッパカーのローランは総合狙いのはずが、なぜか山岳賞を獲得して、逆に山岳を狙うかと思われたヴォクレールは動かず、いつもの定位置の集団後をうろうろしたり時には​遅れたり・・・何かキレがありません。
大丈夫でしょうか?(汗)
まぁヴォクレールのことなんで何考えてるか分かりませんし、現地の見方ではこれ自体がフェイクで三味線を弾いてるだけという風に見られているようです。
そうなると、明日は何かやってくれるかもしれません。

明日も楽しみです。では、今日はここまで。
Bonne nuit!

2013年7月5日金曜日

ツール・ド・フランス 2013 第6ステージまとめ

Bon soir! TORIALです。

今日は第6ステージ。176.kmの平坦ステージです。



序盤の上りさえ何とかなればピュアスプリンターにとっては数少ない、まともに勝負できるステージです。
ただし、強風が予想されるステージなので油断はできません。

レースは序盤にアタックが決まりました…
が、これが何とも不憫でした。
アタックしたのはコフィディスのルイス・マテマルドネスでしたが、何と誰もついて来てくれません(笑)
それもそのはず、今日は平坦ステージなので集団のほうに分があり、更には強風が予想されるので逃げるのはあまり得策ではありません。
しかし飛び出して、決まってしまったものは仕方がありません。
とりあえず逃げて、スポンサーアピールでもしとくしかありません。

残り137km地点ではタイム差が1分36秒程度まで広げますが、中間スプリントを目指して集団がじわり速度を上げるとズルズルと下がっていき残り132km地点で結局吸​収されました。

中間スプリントでは、今回は逃げが無く、集団でやってきたので1位になればそれなりにポイントを稼げます。
マイヨ・ヴェールを狙うスプリンターたちはしっかり狙いをつけてアシストを受けながら争い
グライペル、カヴ、クリストフ、サガンの順で通過しました。
キッテルは今回絡んでこなかったので、完全にジャージよりステージ狙いのようです。
まぁ上りがスプリンターの中でも極端に苦手なのでジャージは難しいことは最初から分かってたので冷静な判断ですね。

そして中間スプリントを通過したあたりからどんどん風が強くなります。
先頭はスカイが牽引していきます。
これが特別ペースが速かったわけではありませんが、緩める気配も無かったため集団は少し長くなり、調子の悪い選手が遅れ始めてしまいます。

これの餌食なったのはFDJのブアニでした。
昨年はフランスチャンピオンになったまでの実力者ですが、落車の影響や胃腸の調子が悪かったらしくここでズルズルと遅れていってしまいます。
時速30km/hの強い横風が吹き、千切れた選手はどんどん遅れてしまいます。

結局粘りましたが、叶わずにブアニは残り90km地点で自転車を降りました。
非常に落胆し、悲痛な表情でした。

そのようなキツイ風が吹く中で集団もぴりぴりします。
一度分断されてしまえば、先頭復帰は難しく大きなタイム差を生んでしまう可能性があります。
だからといってむやみやたらにやれば、それだけ消耗してしまいます。
消耗してこの風の中を走ろうとして逆に自分がやられてしまう危険もあります。

そんな中、補給地点に差し掛かりましたが集団はペースが上がります。
普通はここでペースを上げるのは紳士協定というか暗黙の了解みたいなものであまり歓迎させることではないのですが、近年そういったものより戦略が重視されつつあるのでここ​での攻撃もある場合があります。
しかし、ここでペースを上げてしまうと選手は補給ができないので非常に大変な思いをします。
ここで補給できなかったチームは、後でわざわざアシストがチームカーのところまで行ってサコッシュやボトルを貰って運んでいかなければなりません。
そういった意味での攻撃になるので、アシストを消耗させるには有効かもしれませんが・・・
餌食になったアシストは同情を禁じえません。

そんなペースが上がる中、今度はアスタナのケシアコフが遅れてしまいリタイアとなってしまいます。
2人目のリタイアです。

ここから更に風が厳しくなるので、下手な動きはできません。
しかしペースを極端に緩めることもありません。
また、総合を狙う選手を抱えるチームでは、危険回避のために集団の前方の位置を争うような場面もありました。
大きな動きはありません(というか風が強すぎてできない)でしたが緊張した雰囲気で進んでいきます。

そしてゴールに近づいてくる中、今度はスプリンター系のチームも前に出てこようとします。
そんな中、残り32km地点で落車が発生。
何とこのステージでの優勝候補のカヴが巻き込まれてしまいます。
今日は風が強いので少し遅れると戻るのに体力を使ってしまいます。
アシストを使い、自動車の隊列をつかいながら22km地点で何とか戻ることはできましたがアシストもカヴも少し消耗してしまいました。
また11km地点でも落車が発生。
ここでは総合で表彰台を狙うアスタナのブライコビッチが落車してしまいます。
どうやら顎を打ちつけたらしく、脳震盪を起こしているようで中々立ち上がれません。
まだ残り3km地点ではないので救済措置は無く、結局何とか再スタートはできたもののここで大きなタイムロスをしてしまいます。

残り6.8km地点になるとスプリンター系チームの引きで集団はどんどん加速して行きます。去年の新人賞のタラマエもここで遅れていきます。

残り4.7km地点、いよいよ過熱してくる中でアルゴスシマノのトレインが集団の先頭に現れます。
ここまで、中間スプリントなどにも目もくれず、集団の中で息を潜めていたので体力を温存していたアルゴスシマノは完璧なトレインで牽引します。
そんな中、後では人数は少ないものキャノンデールもトレインを組んできます。
またカヴもアシストが殆ど残っていませんでしたが何とか先頭に残ります。
今日はアルゴスの日か?と、思ったらそのトレインを上手く利用したチームがありました。
ロット・ベリソルです。
アルゴスシマノのトレインの後にトレイン作り、ゴールがいよいよ間近になってきたところで前に出てきます。
その完璧なトレインのリードアウトを受けて、調子の良いグライペルが発射。
キッテルが迫りますが、追いつけません。
遅れたカヴやサガンも粘りますが、カヴは早々に見切りをつけてしまい後退します。

結局、優勝はグライペル。
次いで、サガン、キッテル、カヴの順でした。
初日は落車の影響でスプリントに絡めずに落胆していたグライペルですが、カヴに次いで勝利を挙げます。
ここで大きくポイントを稼ぐものの、サガンもしっかり残っていたのでマイヨヴェールはサガンがキープです。
サガンはまだ1勝もしてないのですが、ジャージを着ています…それもちょっと微妙なような?

また、最後集団のペースが上がっために中切れが起きていたようで、総合の順位に少し変動がありました。
今日までマイヨジョーヌを着ていたのはサイモン・ゲランスでしたが、同じグリーンエッジのダリル・インペイに引き渡されました。
同じチームなので、そんなに気になることでもないかと思ったら、そんな事ありません!
何と、このダリル・インペイ選手は南アフリカ出身なのですが、南アフリカ出身としては初のマイヨ・ジョーヌ着用という歴史的な瞬間でした。(ちなみに南アフリカ出身の選手​のツール初勝利はロビー・ハンターだそうです)
非常にラッキーですね。
グリーンエッジはこのツールで非常に目立ってます。
初日にはバスがゴールに引っかかり、第3ステージではチーム創設以来初のツールの勝利&マイヨジョーヌ獲得、第4ステージでも続いて勝利した上に史上最速の平均時速を記録​、そして第6ステージでは南アフリカ初のマイヨジョーヌ。
これはまだ何か面白いニュースを生んでくれそうです。
期待しましょう。

では、今日はここまで!Bonne nuit!

2013年7月4日木曜日

ツール・ド・フランス 2013 第5ステージまとめ エアロヘルメットのお話

Bon soir! TORIALです...

テンション低いのは察してください…
頑張ってまとめます。

今日は第5ステージ 228.5kmです。
今日も比すらアップダウンが続く…平坦ステージだそうです。
平坦ってなんだっけ?



今日は序盤からアタックが決まりました。
逃げたのは我等が新城幸也選手と、同じくヨーロッパカーのケビン、ヴァカンソレイユのデヘント、エウスカルテルのシカード、アスタナのルツェンコ、ソジャサンのデュラプラ​スの6人でした。
ヨーロッパカーが2人も逃げてる!
ということで新城の初優勝への期待でツイッターもJsportsの実況も大変盛り上がりました。

逃げは完全に容認され一時は12分近くまでタイム差が開きました。
そうなると、ヴァーチャルですが新城がマイヨジョーヌということで、まだ勝利も決まってないのに期待は膨らみます。

逃げ集団も上手くまとまりながら進行します。
山岳ポイントとスプリントポイントを争って小競り合いは発生しましたが、協調が崩れるということは無く、大きくタイムを失うことはありません。
最初の3級山岳はデヘント、デュラプラスの順で通過
次の4級もデヘントが1位通過
中間スプリントではデヘント、ルツェンコ、デュラプラスの順で通過します。

残り125km地点では10分程度の差がありましたが、中間スプリントに向けて集団が加速したため残り100kmで9分程度まで少し詰めました。
残りの中間スプリントのポイントを争ってのメイン集団でのスプリントでは
グライペルが制し、クリストフ、サガン、カヴの順で通過していきました。

残り100kmで9分程度あったタイム差ですがこの頃からじわりと集団が詰めてきます。
残り80kmで7分53秒まで詰めてきました。
しかし10km1分の法則からするとまだ逃げ切りの可能性もあるタイム差です。

3つ目の4級山岳ではまたデヘントが獲るかと思いきや、するすると新城が上がっていき一位で通過していきました。
この時点で残り74.8km、タイム差は7分35秒と微妙なラインです。
ここまで既にスタートしてから154kmも走ってきました。
そろそろ逃げ集団の中でも消耗してしまい、ペースの落ちる選手たちが出てしまいます。
53.2km地点でタイム差が6分37秒と法則から言うと少し余裕のあるタイム差ですが、遅れる選手たちが出始めます。
ふるいにかけるため、新城がペースを上げるとデヘント、ルツェンコ以外の選手が少し遅れます。
後にはケビンを含む3人が残りましたが、他の2人に力が残ってないことが分かるとケビンは2人を捨て去り、単独で追うと先頭に合流します。
結果、先頭は新城、ケビン、デヘント、ルツェンコの4人となりました。

レースは更に進むと39.2kmで5分3秒のタイム差がありました。
しかしここから最後の4級と、山岳ポイントは設定されていませんが、4級レベルのジネスト峠(登坂距離8km、平均3.1%)の2つの峠があります。
4級山岳は再びデヘントが制します。
そして下ると残り21kmでタイム差は2分20秒と厳しくなってきます。
下りではシャヴァネルが先頭に出て引き始めたので一気にタイム差を詰められました。

残り20.5kmで最後のジネスト峠に突入します。
ここは8kmの登坂になりますので、集団とのタイム差が更に縮まります。
タイム差が30秒を切る頃、このままではいよいよダメだと新城は最後の足掻きを始めます。
アタックを仕掛け、もがきますがタイム差はどんどん縮んでいきます。
何とか山頂は越えたものの、この時点でタイム差は17秒しかありません。
残りは12kmと逃げ切りの可能性はほぼ潰えました。
それでも最後の下りでルツェンコが飛び出していきます。
ケビンは反応しますが、デヘントは反応せず、その後にいた新城もデヘントの後ろに付いたままでした。

多分ですが、新城としてはデヘントはこの中でも実力のある選手で、今日のステージ勝利を狙っている雰囲気もあったのでこの後、デヘントは踏みなおし再び追いつくと考えて、​体力を消耗しないためにも後についたんだと思います。
しかし、デヘントはここで諦めてしまったようで踏む気配がありませんでした。
と、言うのも実況で別府始さん言っていましたがこの時点でデヘントに敢闘賞が決定していたそうです。
既に逃げ切りの可能性はほとんど無く、彼は敢闘賞を獲得できたので無理してここから行く必要もなくなってしまったので踏むのを止めたんだと推測されていました。
そうなると、新城選手の読みは外れてしまったんでしょう。
そのまま集団に飲まれていってしまいました(泣)

そうなると、残るはケビンとルツェンコですが、集団では再びシャヴァネルや、スプリンター系のチームが出てきてペースを上げていきます。
結局4km地点で二人も吸収。
最後はスプリント勝負。
今回は最後まで殆どのスプリンターが生き残り、純粋なスプリント勝負となります。
勝ったのはカヴェンディッシュ!
オメガファルマのトレインに引かれながら、最後はステーグマンスに発射されたカヴの勢いは最後まで落ちませんでした。
スプリントでは先に飛び出した選手は勢いが止まり、最後は後から選手が迫ってきて、ゴールまでに追いつかれるか、刺されるどうか!?
みたいな勝負になることが多いのですが、カヴは1車身くらいのリードを奪いながら全く他を寄せ付けないまま圧勝でした。
ボアッソンハーゲン、グライペルがその後から迫りましたが、全く差は縮みません。
少し後から遅れる形で飛び出したサガンは非常に勢いがありグライペルは抜いたもののカヴは遠く、グライペルよりかは速かったものの、カヴとの差はあまり縮んでいませんでし​た。
どんだけ速いんだ…
結局、順位はカヴ、ボアッソン、サガン、グライペルの順でした。
サガンは負けたものの、ここまで稼いだポイントと、今日取りこぼすことが無かったのでジャージはキープしました。
他のジャージも動くことなく終わりました。

新城の勝利の可能性が合っただけに非常に残念でした。
しかし、まだツールは第5ステージが終わっただけ。
まだまだツールは続きます。第14ステージも新城向きのコースになってるので、じっくり待ちましょう。

そして、なかなかできない機材の話を続けます。
今日はヘルメット。
チームスカイがヘルメットの穴を塞いだり、丸っこいエアロヘルメットを投入してからというものヘルメットの開発競争が非常に活発になってます。
一昔前では全く考えられなかったことですが、TT以外の普通のロードレースでも丸っこいエアロヘルメットや穴のふさがれたヘルメットが使われています。
その中でも、今回気になったのはオメガファルマのヘルメットです。

TTのエアロヘルメットと、普通のヘルメットの中間のような存在。
まるでカエルになりかけで、しっぽが縮んできたおたまじゃくしの様なちょっと微妙な感じのヘルメットです。
左のキッテルはノーマルのヘルメットの穴を塞いだだけのようなモデルです。
チームによってヘルメットの差はかなり激しいようです。
しかしこの写真では分かりませんが、カヴのほうのヘルメットには上手くエアインテークが設置されてます。


この写真を見ると分かるように前面に結構穴が空いてます。
なので意外と快適かもしれません。ヘルメット上部のほうは穴を開けておい風が入ってきても頭頂部をちょっと掠めただけで通り過ぎてしまうので、空気を乱す割にはあまり冷却​効果が無いそうです。
逆におでこの上のほうから空気を上手く通りいれて、頭頂部分を塞いでおくと、トンネルのようになり中を空気が抜けていき冷却効果が高いそうです。
しかし、そのおでこの部分を我慢して塞ぐと非常に空気抵抗を削減できるそうです・・・
ここら辺のバランスは難しいですね。
ちなみに、エアロヘルメットの本家本元?のスカイのフルームのヘルメットはこんな感じ


やはりおでこ上の部分に結構大きなインテークがあいてます。
どのタイプが一番、空気抵抗は少ないんでしょうか?
ちなみに、私はエアロヘルメットは持ってませんが、先日このヘルメットを被って練習コースでTTをしたり、ダウンヒルしてみたところ確かに普通のヘルメットより頭を押され​る感覚は低減しました。

なので、高速で駆け抜けるプロなら十分な効果があるんでしょう。

またTTでも色々なエアロヘルメットがありますが、気になったのはヨーロッパカーのTTヘルメットです。


私が見逃しているかも知れませんが、唯一このヘルメットだけがディンプル加工されてました。
ディンプル加工とはゴルフボールにされているあの凸凹の加工です。
ツルツルにするより、ああやって表面に無数の穴を設けることで逆に空気抵抗が減るという話です。
これはヘルメット以外だと元祖?軽量カーボンホイールメーカーのZIPPのリムにも同様の加工がされています。
ZIPPがやっていることだから多分効果はあるはずなんですが・・・
こういった事が大好きそうなスカイのヘルメットには採用されてません。
やっぱり効果ないのか?どうなんだ?

何にせよ、自転車が走行するときに発生する損失の8~9割が空気抵抗なので、それを低減させるのは非常に効果的です。
しかし、それを追求すると色々問題が出てくることが多々あります(特に快適性が犠牲になることが多い)
ついでに速ければ速いほど効果が高いものなので、裏を返せば遅い人にはあまり効果が無いという厳しい現実も
エアロ化を進める場合は自身の脚力や体力、それから不快や苦しみをどこまで我慢できるか良く相談してからにしましょう。
でもエアロってカッコイイですよね・・・

では、今日はここまで!Bonne nuit!